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第3話 一夜の安らぎ

Penulis: みみっく
last update Terakhir Diperbarui: 2025-11-26 11:51:54

 当然、彼女に笑顔はなく、一点を見つめて動かない。食事を出して様子を見ていたが、一人にしておくのが良いかと部屋から出て寝室へ向かおうとした、その時だった。

 ガタッと椅子から立ち上がった少女が、ユウの服を掴んだ。

「……一人に……しないで……また、おそわれちゃう。」

 震えるような、しかし可愛らしい声だった。

「いや、男に乱暴にされたんだろ。俺がいると落ち着かないんじゃ……?」

 ユウの言葉に、少女は無言で首を振る。

「分かった。じゃあ、隣に座るがいいか? ちゃんと飯を食えよ……?」

 少女は無言で頷いた。言われた通りに、おずおずと一口食べ始めると、パンとスープを完食した。すると、隣に座るユウの服をすぐに掴んだ。

「どこにも行かないから、大丈夫だぞ」

 ユウはそう言って、優しく頭を撫でた。あまり触れられるのも嫌かもしれないから、これくらいにしておくか、と彼は思った。

 ……って、どうやって寝るんだよ。俺、どうすれば……!?

「……なあ、寝るのはどうするんだ? 一緒には寝たくはないだろ?」

 ユウの問いに、少女は首を振る。……どっちだよ!?

「一緒に寝たくないんだろ?」

 ユウがもう一度聞くと、少女はぶるぶると……首を横に振った。

「……じゃあ、一緒に寝るのか?」

 コクリと頷く少女。

 ……そっか。まあ、俺は良いけど。可愛いしな。

 夜も遅い。寝室に入ると、同じベッドで横になったユウを見て、少女は嬉しそうな顔をした。多分、ベッドで寝られることが嬉しいのだろう。

「安心して寝ていいぞ。誰も襲ってこないからな。」

 ユウの言葉に、少女はコクリと頷いた。彼女の表情には、ようやく安堵の色が浮かんでいた。

 寝ながら、ユウは孤児院について考えていた。この命の軽い世界で、もし孤児たちを保護すれば、たちまち財政難に陥るだろう。きっと「ここに来れば保護してもらえる」と、他の領地からも孤児が押し寄せてくるに違いない。

「大して金もかからないか……一日二食で空き家を使うとか。人里離れた場所で?」

 そうすれば孤児院の情報が漏れるのを防げるが、ただ育てるだけになってしまうだろうか。畑仕事や料理を教えて……弁当屋でも始めるか。それにしても、職員が必要だな、とユウは考えた。

「ふぅ~疲れた。精神的に……」

 その時、ゴロンとミレディが抱き着いてきた。これでは動けない。安心しきった顔で眠っているミレディを見て、「ま、この女の子は大切に育てるか」とユウは心に決めた。

 あの辺り一帯を、とりあえず明るくしよう。ノアに魔石の加工を頼んで、俺が光魔法を付与すれば無料だしな。

 ミレディの寝顔を見ているうちに、ユウは無意識に頭を撫でていた。サラサラの髪の毛は良い触り心地だ。俺が癒されているな……ミレディも微笑んでいる気がする。

翌朝。

二人は朝食を黙々と食べた。ミレディはそんなことを気にする様子もなく、食べ終わるとすぐにユウの服を掴んでくる。ユウはそれを許容した。

「そういえば、名前は? 聞いてなかったぞ?」

「ミレディ……」

ミレディは目を合わせず、俯いて答えた。

「そっか。ミレディか。よろしくな。俺はユウな」

ユウはそう言いながら頭を撫でようと手を伸ばしたが、ふと止めた。

すると、ミレディはユウの方を向き、透き通る青紫の瞳で見つめてきた。そして、コテリと可愛く首を傾げる。

「あ、嫌かと思ってな……あまり人に触られるの嫌いなやつもいるだろ?」

「……いや。でも……ユウならいい……」

「……俺ならね」とユウは思った。懐かれたのだろうか? その言い方は素直に嬉しかった。

 もしかして、話しかければ答えてくれる?

「話しかけられるのは、キライか?」

「……キライ。……でも、ユウなら良い」

 こいつ、人を喜ばせるのが上手いのか、それとも無自覚なのか? 気を使っているのだろうか? まあ、話半分で聞いておくか。負担に思われても嫌だしな。

「それじゃ、好きな食べ物は何だ?」これからしばらくは一緒に暮らすつもりだしな。

「……おにく。」

 ほう、食材名でくるか。肉なら大量にあるから問題ない。逆に料理名で言われていたら困っていたな……作れる自信がない。っていうか、こいつ料理できたり……しないよな。料理できてたら、これまでも食事ができてただろうし。

「料理は、できたりするのか?」

「……できない。ごめん……。おぼえる。」

「そっか、覚えてくれたら一人になっても暮らせるしな。」

「……それ、イヤ。ユウと一緒が……いい。」

 テーブルの一点を見つめていたミレディが、ユウを見てそう言った。しかも、目を潤ませて。

「そっか。一緒にいるか。」

 ユウがそう言い、頭を撫でた。ミレディはコクリと頷き、かすかに微笑んだ。……ああ、昨日の夜に見た寝顔と同じ微笑みだ。

「……お、おしっこ。」

 ミレディの突然の言葉に、ユウは慌てた。

「あ、確か……こっちにあったぞ。ここだな。」

 ユウがトイレの場所を指し示すと、ミレディは不安そうに言った。

「そこにいて?」

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